2011.10.24更新
先天性心疾患・構造異常 / 心電図異常・不整脈 / 心筋炎 / 肥大型心筋症
希少疾患 / 症候群と心筋疾患 / 拡張型心筋症・拘束型心筋症
心筋炎
座長:片岡功一(自治医科大学 小児科)
急性心筋炎を伴った不全型川崎病の学童例
横浜市立大学附属病院 小児循環器科 中野裕介、金昌恵、志水直、鉾碕竜範、岩本眞理
【諸言】川崎病に伴う心筋炎で臨床的に問題になる事は稀である。
【症例】13歳男児。2日前から発熱と下痢が出現。第3病日に下腿の紅斑が出現したため近医を受診。血圧80mmHgであり細菌性腸炎及び脱水の診断で入院。初期輸液後も血圧上昇なく、心不全疑いで当院搬送。到着時にはLVEF30%と左室収縮は全般に低下。急性心筋炎または敗血症に伴う心原性shockと考えた。循環補助薬と抗菌薬治療を開始。不整脈の出現なく第5病日から心機能は改善に転じたが炎症反応高値及び発熱が持続、第6病日には眼球結膜充血が出現。川崎病不全型として大量免疫グロブリン療法施行。翌日に解熱。第21病日に軽快退院したが、経過中の膜様落屑なし。冠動脈径は入院時に左右とも4.5mmで、退院時は4mmと縮小を認めた。
【考案】心筋逸脱酵素の上昇は軽度であったが、回復の経過から急性心筋炎と思われた。川崎病としては年齢が高く、各種病原体を検索したが同定には至っていない。原疾患について他施設の御意見も伺いたい。
発熱 頭痛 胸痛を主訴に来院した14歳女児心筋炎の1例:CRP 22.7mg/dlで何を考えるか?
広島市立広島市民病院 循環器小児科 石口由希子、鎌田政博、中川直美、板村真司
【症例】発熱で発症。第2病日(2HD)に胸痛、4HD嘔吐、5HD失見当識、6HD歩行困難となり紹介。
理学所見:体温39.0℃、HR120/m、BP50/37mmHg、SpO2 97%。意識: JCS2、心雑音/ラ音なし。 深呼吸で胸痛あり。検査:WBC/Nt8300/92.5%、CRP22.7、CKMB11、NT-proBNP13488pg/ml、procalcitonin(PCT)>10pg/ml。血培陰性であった。胸部Xray: CTR0.53、ECG:洞調律,異常Qなし、ST上昇、心エコー: LVEDD/EF 42mm(93%N)/47.9%、心筋肥厚/心嚢液(拡張期8mm)を認めた。ウイルス性心筋炎としてはCRP/ PCT高値であり、細菌感染に伴う心筋障害の可能性を考え、抗生剤/γグロブリン投与を開始した。診断に至ったその後の経過について考察を交えて報告する。